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イエスタデーズ・ヒーローズ
ニューウェイブ&テックのポップ・クラシック
 
- 安永哲郎/Cubic Music


In Tower Records' Musée, May-June 2004.

 

以前から噂には聞いていたが、HACOとテーリ・テムリッツという驚きの顔合わせによって完成されていた音源が、フランスのレーベルからの配給という形 で遂に日の目を見ることとなった。タイトルにも反映されているように、70年代末から80年代初頭のニューウェイヴの今日的解釈がテーマになっている が、この二人が自ら堂々と『ニューウェイブ&テクノポップ・クラシック」と名乗りを上げてしまうような作品が一筋縄でいくはずもない。見せかけばかりが 破天荒で、ちゃっかりスタイリッシュなプレゼンテーションにおさまってばかりの80'sのリバイバルのすぐ脇で、なんだか居心地の悪いような恥ずかしさ の中に敢えて積極的に自らの身を置かんとする態度が反映された楽曲は、結果的にある種の冷静さを孕むこととなり、あの時代の空気の中で本当にクールだった要素を抽出する。ソリッドで配慮の効いたサウンド・デザインに乗っかった、クスリと笑える詩世界に軽く辱められるような感覚も癖になりそう。